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2022年以降のパッケージング業界におけるサステナビリティ
25 Feb 2022

執筆:Dieter Niederstadt、テクニカルマーケティングマネージャー、Asahi Photoproducts社

かつて私たちが当たり前のように送っていた生活は、気候危機やCOVID-19の感染拡大によって大きく様変わりしています。地球全体で生活様式に大きな変化が起こっている中、パッケージング産業においても変化が求められています。

パッケージの樹脂や紙などの原材料サプライヤーから最終消費財メーカー、消費者に至るサプライチェーン全体において、従来までのパッケージの在り方を見直す動きが近年加速しています。消費者は製品パッケージに対して、商品を適切に保護しつつも、より環境に優しいパッケージであることを求め始めています。こうした消費者の需要を受けて、最終消費財メーカー各社は、より地球環境に優しいパッケージの素材や印刷を提供している印刷会社を採用するようになってきています。その結果、パッケージ印刷会社は、より地球環境に優しい素材や印刷方法を自社の技術に取り入れ、最終消費財メーカーに対して日々新しい提案を行っています。サプライチェーンの中の会社がそれぞれの立場でより環境に優しいパッケージを追求しており、その最終目標はサプライチェーン全体でカーボンニュートラルを達成することです。しかし、この目標の達成は、必ずしも企業のコストダウン目標の達成と両立しません。カーボンニュートラルを実現するためには、投資が不可欠であるからです。また、消費者側もより地球環境に優しい商品パッケージの価値について知識を蓄え、そのようなパッケージの製品は通常のパッケージの製品と比べて高価であることを受け入れる必要があります。

持続可能性:目指すべき価値がある目標

消費者需要と気候変動という2つの側面から、最終消費財メーカーは製品の持続可能性を追求することが求められています。低炭素社会を実現するため、最終消費財メーカーはまずサプライチェーン全体を把握し、自社商品のカーボンフットプリントの算出を行わなければなりません。サプライチェーンの中の企業が既に国際的な認証であるPAS 2050に準拠してカーボンフットプリントの算出を行っているということであれば、最終消費財メーカーはその数値を利用することが可能です。数多くの原材料を仕入れている最終消費財メーカーにとっては、既にカーボンフットプリントを国際規格に準拠して計算しているサプライヤーから原材料を購入することで、より正確かつ迅速に自社製品のカーボンフットプリントの算出を行う事ができます。

こうした状況を念頭に置き、旭化成 感光材事業部では、環境に配慮した水現像フレキソ樹脂版のAWPTM-DEF/DEWについて、カーボンフットプリントを国際規格に基づいて測定し、2021年にPAS 2050の認証を取得致しました。測定したカーボンフットプリントをもとに、二酸化炭素排出量削減に向けての活動を推進し、旭化成グループ全体で掲げる2050年にカーボンニュートラルの達成という目標に向けて取り組みを加速して参ります。

旭化成のサステナビリティ

旭化成グループでは、長年にわたり気候変動が自然環境と社会全体に影響をおよぼす地球レベルの深刻な問題であることを認識し、「世界の人びとの”いのち”と”くらし” に貢献します。」というグループ理念のもと、社会に新たな価値を提供して参りました。新型コロナウイルス感染症拡大によって、世界中の経済および社会活動のほとんどが停止せざるを得なくなった時でさえも、温室効果ガス(GHG)の排出量が大幅に低下することはなく、経済および社会活動が再開すると、排出量は再び上昇に転じました。これは、気候変動の問題を解決することの難しさ、そしてそれに関連する取り組みを加速させていくことの重要性を示しています。

旭化成 感光材事業部では、早くから環境に配慮したフレキソ印刷用樹脂版の製版システム開発に着手しており、製版工程で溶剤を使用する製版システムに代わる、水現像製版システムの開発を行ってきました。この水現像製版システムは溶剤を使用せず、二酸化炭素排出量を抑えることが出来る製版システムで、カーボンニュートラルの実現に向けて、今後更なる研究開発を加速させています。

食品パッケージは必要か

パッケージ業界における重要なトレンドをもう1つご紹介しましょう。パッケージなしで食品を販売する「ゼロウェイストショップ」が近年増加してきています。このアプローチはパッケージ廃棄物を削減するという点では効果がありますが、地球規模の大きな課題の1つである食品廃棄物の点で課題が残ります。パッケージには食品を湿気や酸化、そしてウィルスなどから保護し、安全により長く保存することが出来るという効果が有ります。特に環境に配慮した原材料を使用し、リサイクル性を向上させたパッケージを使用している場合などには、パッケージを適切に使用し、食品廃棄物を減らす方がより地球環境に優しい可能性があります。もちろんすべての食品をパッケージで保護する必要はありません。しかし、スーパーマーケットなどに並ぶ食品に関しては、リサイクル性を向上させたパッケージなどによって食品廃棄物量を最小限に抑えつつ、パッケージ由来の二酸化炭素排出量も抑えるというモデルが重要になってきます。

終わりに

パッケージング印刷産業では、サプライチェーンの管理、カーボンニュートラルを目指した継続的な活動などに加えて、以下の3つのトレンドがあります。

  • フレキソ印刷の採用による環境性、生産性の向上。

二酸化炭素排出量削減やプラスチック使用量削減などの取り組みの中で、パッケージの紙化や単層フィルム化と合わせて、様々な印刷基材に対して効率的に印刷が可能なフレキソ印刷の採用が進んでいます。

  • 印刷会社による製版システムの導入が加速しています。

旭化成とESKO社が共同開発した全自動水現像製版システムであるCrystalCleanConnectのように製版の自動化が進んだことで、印刷会社が自社で製版を行うことのハードルが下がり、より環境に優しい水現像版を自社内で効率的かつ低コストで製版することが出来るようになっています。

  • 従来の溶剤を使用したフレキソ製版システムから、製版工程で溶剤を全く使用しない製版システム(水現像システムや熱現像システム)への転換が進んでいます。

新型コロナウイルスの感染拡大から、私たちは未来を正確に予測することは非常に困難であるという教訓を得ました。気候変動など地球規模での課題に対して、私たちが今できることは何かを真剣に考え、共に力を合わせ対処していく必要があります。個人も、企業も、政府も独力でこれらの課題に対処することはできません。気候変動を止める為には、全世界で普遍的な協調・協働が必要になります。旭化成 感光材事業部とその子会社であるAsahi Photoproducts社は、サステナビリティ活動を促進し、課題解決に向けての取り組みを進めて参ります。

カーボンニュートラルの詳細については、当社の無料ホワイトペーパー『カーボンニュートラル:目指すべき価値がある目標』をダウンロードしてご覧ください。

連絡先:info@asahi-photoproducts.com
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